第26話 エヴァパイロット達第26話 エヴァパイロット達ネルフ本部に着いたシンジとレイは、パイロット専用のスーツである、プラグスーツに着替え、シンジはエヴァのある格納庫へ行き、レイはパイロットの待機する部屋へと向かった。 現在、ネルフ本部に存在するエヴァは、プロトタイプの零号機、テストタイプの初号機の2台である。 エヴァの操縦は、基本的にはパイロットがエヴァとが神経接続され、シンクロすることによって、パイロットが思った通りに動かせるという画期的なシステムである。 しかし、このシステムは、パイロットのイメージ通りに動かせるというメリットを持つ反面、エヴァが受けたダメージがパイロットにフィードバックされると言うとんでもない諸刃の剣でもあった。 エヴァと上手くシンクロ出来る人間は、現在、シンジを含めて、世界中に3人しか発見されていない。 元々、レイは、零号機、初号機の2機のパイロットであったが、先日の戦闘以来、何故か初号機にはシンクロ出来なくなってしまっていた。 この為、現在は零号機の専属パイロットとなっていたが、まだプロトタイプのせいか、上手く起動できていなかった。 逆に、シンジはレイ以外の誰もシンクロすることの出来なかった初号機に初めてのテストで50%のシンクロ率を出している。 このシンクロ率は、パイロットとエヴァとのシンクロの具合を示すもので、ボーダーラインを切るとエヴァは起動しない、つまり動かせないのであった。 シンクロ率が高いほど思い通りに動かせる反面、パイロットへのフィードバックも大きい。 シンクロ率が低いと思い通りには動かせない反面、フィードバックも小さい。 戦う上で、有利な点と不利な点が同時に存在するのである。 「何考えて作ったんだろ、エヴァを作った人って?」 と、シンジでさえ疑問に思うのに、ミサトやリツコがその点について、仕方がないと割り切っていることが不思議でならない。 また、使徒が通常兵器で倒せ無い理由は、使徒がATフィールドを持つからである。 ATフィールドは、物理的な攻撃をほぼ完璧に防御する絶対障壁であるが、詳しいことはまだ分かっていない。 自衛隊の攻撃が全然、効果無かったのは、このフィールドに防がれていたからである。 しかし、エヴァにもなぜか、このATフィールドという訳の分からないものが装備されており、更に敵のATフィールドを中和することも出来るそうである。 そうである、という言い方をする理由は、いまだシンジは、エヴァに乗って、敵のATフィールドを中和したことが無いからである。 こればかりは、相手がいないと試せない。 また、エヴァは、基本的に巨大な人のようなモノであるため、武器を持って戦う。 前回の戦闘では間に合わなかったが、今回はパレットライフルが装備されている。 これは、劣化ウランの弾頭をレールガンで打ち出す仕組みの巨大な銃である。 武装としては、この他にプログレッシブナイフという高振動ブレードを持つナイフ状の武器が装備されていた。 これまでの訓練でシンジは、主にライフルを使って使徒を倒すシュミレーションを繰り返してきており、そこそこの成績を収めている。 しかし、シュミレーションの訓練はゲームのような感覚でリアリティーに乏しく、シンジは、本当の実戦でこんなシュミレーションのように敵を倒せるのか?と、疑問に思っていた。 しかし、一般の中学生に過ぎないシンジは、使徒との戦闘に関して専門家で有る筈の、ミサトやリツコに言われるままに訓練をこなしていた。 「初の実戦か。」 前回の戦闘は、意識を失っての暴走なので、戦ったという意識はない。 今回初めて、エヴァに乗って使徒と戦う。 正直言って怖い、やめて逃げ出してしまいたい。 でも自分で決めたから。 「嫌やのに無理して命賭けることなんかないねんで!」 「人類全てよりも、自分の命の方が大切デス。」 笑ってそう言ってくれた人達を守る為にも、まだ笑顔を見せたことのないあの娘を守る為にも、 「逃げる訳にはいかない!」 そう呟いたシンジの顔は、紛れもない漢の顔であった。 続く |